聖霊降臨節 第17主日礼拝
2023 年 9 月 17 日 (日 )
前奏(MP3)







パーシェンオルガンについて 
オルガンビルダー:望月広幸
 五橋教会のパイプオルガンは、776本の笛からできていて、13個のストップを備えています。これらは、二段の手鍵盤とペダルで配分されており、ストップの組み合わせを変えることによって、様々な音色を奏でます。第一手鍵盤(下の段)が主鍵盤で、これに属するプリンシバル8フィートが、このオルガンの中心となります。オルガンの全面に並んでいいるのが、この笛です。プリンシバル8フィートをベースに、プリンシバル4'、オクターブ2'そしてミクスチェアーが重なっていくと、オルガン独特の重厚で輝きのある響きを生み出します。これに対して、ロールフレーテ8'は柔らかいフルート系の音色です。

 第二手鍵盤の笛はシャッター付きの箱に収められていて、これをスウェルと言います。オルガニストは、シャッターを開閉して音量を加減しあmす。ここのストップは、主鍵盤に比べてフルート系の笛が多く、しかも音色の変化に富んでいます。例えば、クルムホルン8’というのは、リード管で、あのバグパイプを思わせるような、大変癖のある、牧歌的な音色を出します。また、ナザート22/3’は五度音色を、テルツ13/5’は三度音を出し、これらを他の8'、4'、2'と組み合わせることにより、コルネの響きが得られます。主鍵盤の方が、さび歌の伴奏、あるいは前奏曲とフーガなどの楽曲に適するとすれば、ソロ声部などに適し、シャッターを閉めた最弱音は、献金の時の奏楽などに使いやすい音量です。

 ペダルのスブバス16’、ゲダクトバス8'は共に木製の管で、オルガン本体とは少し離れて、後ろの格子の中に立ち並んでいます。これらは、文字通りオルガンの音の低音部を待ち受けます。

 キーアクションはメカニカル、ストップアクションはエレクトリックで、4つのフリーコンビネーションとテュッティが付いています。また、スウェル二は、速度調節可能なトレモロが備わっています。

 伝統ある五橋教会のオリガン設置という大きな課題を与えられて、私どもはとても光栄に思いました。そしてま先ず、独特なこの会堂の中で、オルガンに許されたスペースを最大限に生かそうと試みました。しかも、会堂の中で、オルガンが決して目立ち過ぎないように、視覚的にも音質の面でも配慮したつもりです。幸い、出来上がったオルガンは、他の要素とうまく溶け合い、違和感を感じさせません。そして、オルガン音は、よく声のでる当教会の会衆のさんびと相乗りし、大きな効果を挙げています。これが、私自身、奉献礼拝の奏楽をした時に実感しました。

 このオルガンの特徴のヒトツハ、コンソールがオルガン本体の横に付いていることでしょう。オルガンにはペダルと大きなベンチがつきもので、これが結構場所を取ります。鍵盤の位置を横向きにすることで、ずいぶん奥行を節約できます。同時に、オルガニストは首をあまり振らずに、あるいは鏡がなくても、会堂の様子をよく見ることができます。このように、五橋教会のオルガンは、ドイツ的とか、ネオバロック的とか言う前に、五橋教会のために生まれた楽器であります。また何よりも、礼拝における会衆のさんびを力強く支えるために備え付けられたもおであります。これから未来に向かって当教会の働きの中で、このオルガンが充分に活かされるよう願っております。
 
仙台五橋教会のオリガンを製作して 
Hinricho.Paschen
  本日このオルガンが完成し、初めて礼拝の中で用いられました。コラールの「Lobe den Herren」(讃美歌9番)を伴奏することによって、皆様方にこのオルガンを引き渡し、望月氏は様々なオルガン曲でこの楽器を紹介してくれました。

 オルガン製作という仕事は大変独特なものです。一台のオルガンは、ある教会のために特別に作られるものだからです。ですから一台として同じものはないのです。この皆様方のオルガンは、五橋教会のために作られたものですから、その意味では大変特徴のある、ここだけにしかない作品です。

 このオルガンは私の104番目の子どもです。今日、皆様方にこの子どもを引き渡しますので、今後は皆様方の保護のもとに入るわけです。パイプオルガンの歴史は大変古く、その起源は今から2000年以上もさかのぼると言われています。

 場所はエジプトで、発明したのはある技術屋でした。その後、ローマに伝わった開発期のオルガンは、舞踏や娯楽のための音楽に使われ、教会ではつかわれませんでした。教会の音楽はすべて無伴奏でした。楽しみのために、例えば宮廷などで演奏されたものですから、オルガンは金持ちや位の高い人しか持てなかったのです。大変高価なものでしたから、身分のある人から他の人への贈り物として使われたりしました。このような伝わり方で、オルガンは紀元800年頃ようやく今のヨーロッパへもたらされました。しかし14世紀まではいぜんとして教会では使われませんでした。

 オルガンが次第に発達するに伴い、それに平行するように、さまざまな音楽が書かれるようになりました。そして宗教的なメロディーや楽曲がオルガンに合うということがわかってきました。そのようにして14世紀以降、オルガンは教会で使われるようになり、世俗楽器としての性格がだんだん失われていきました。この時代から、非常にたくさんの宗教的オルガン曲が作曲され、それらは今日でも演奏されています。

 その中でも最も重要な作曲家はJ.Sバッハです。本日も彼の作品の一部を聞いたわけですが、彼のたくさんの作品を見ますと、バッハ時代、つまり17,18世紀のオルガンが、いかに完成されたものであったかがわかります。本質的には、それ以降オルガンは変わっていません。教会におけるオルガンの意義は甚だ大きいものです。

 オルガンなしの礼拝は、不充分であり、人々は満足しません。オルガン音楽は、人々の心を静めて、神への気持ちを聞かせるものです。そしてまた、オルガン音楽自身が、神の言葉を伝えるものであります。

 それ故に、オルガン音楽は人々の心を喜ばせ、祈りの気持ちを起こさせ、悩みをもって協会い来た人に慰めを与えるものであります。ですから、良いオルガンコンサートは、それ自体が一つの礼拝であるということができます。現代は我々の生活に様々な変化をもたらします。多くのものは今日自然から離れ、技術的に、人工的に造られます。オルガンも、実は20~30年ほど前、新しいものにとって変わられる危機にさらされたことがあります。しかし幸いにそれは免れました。これは丁度、ろうそくの光や、人間の声を、人工的には造り出せないのと同じことです。

 このように本当に「自然なもの」だけが、暖かい人間的な感情を人々に伝えることができるのです。美しいオルガン音楽を聴いて、体と心が揺さぶられ、背中がゾッとするような感じは、電子楽器では得られないものです。

 そのような素晴らしい体験を、皆様がこの新しいオルガン持たれますでように、そしてこのオルガンが常に神様を讃美し、又教会に集まるひとびとに喜びと慰めを与えるものでありますように、私は心から願っております。


(これは、1990年2月4日、オルガン奉献礼拝にて、製作ヒンリッヒO.パーシェン氏が語られたものです。)

 
 

 
 
 
 


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